月例観察会「五感を使って里山歩き」2024.3.3
参加者:子ども10人 大人12人
講師:日本自然保護協会 高川晋一さん
先生のお話は、「五感って何だろう?」、子どもたちへの問いかけから始まりました。
「あじ」、「きく」、「におい」、「視覚」、子どもたちから次々言葉が出てきました。
最後の一つ、「さわる」、つまり「感触」は難しかったようです。
早速、「足で地面を踏んでみよう。」、堅い、でこぼこ等、足で感触の意味を確かめました。
そして、里山には触ると危険な物、トゲや毒、かぶれる物もあるので気を付けなくてはなりませんと、注意がありました。
道端に春伸びたばかりの雑草に手のひらを当てて、草の柔らかさ、日差しによるわずかな温かさを感じ取りました。
絡まったクズの枯れ枝ではオオカマキリの卵です。
触るとザラザラの面とふかふかの綿の感触の面があり驚きました。
空き地では早くも太陽の光を浴びて一面紫色のホトケノザが群生しています。
小さな花を一つ採って吸ってみよう、どんな味がする?
「密の味」、ホトケノザは虫たちに蜜を提供して花粉を運んでもらっているんだね。
これから伸びようとしている小さな葉の塊のスイバ、揉んで嗅いでみよう、「酸っぱい匂い」。
カラスノエンドウも地面から若葉を出して勢いよく伸びようとしています。
葉っぱを揉んで嗅いでみると、「グリンピースの匂い」。
ノビルも細いネギ状の若葉がふさふさ、地上に出たばかりのとても柔らかい葉を摘んで嗅いでみると「ネギの匂い」。
植物の匂いは実に多様なことに驚きです。
一方、天に向かって真っすぐ細長い葉っぱを伸ばしているのはスイセン、この葉は食べると命を落とす程の猛毒、植物にも危険なものがあるとの事です。
次はすっかり葉を落としたコナラの大木の下、台地の上で降り積もった葉っぱを皆で踏んでみました。
カサカサ、爽やかな枯れ葉の音を楽しみながら、堅い所やふかふかの所、足から伝わる感触は一様ではありません。
葉っぱの下の土は堅いだろうか、柔らかいだろうか、先生が用意して下さった竹の割り箸を使って地面に刺して堅さ比べです。
落ち葉の下は箸が埋まってしまいました。
次は、ふかふかの土と堅い地を選んで水が入ったペットボトルの口を逆さまに刺して水が落ちる速さ比べです。
どっちが早いか、子どもたちは目を輝かせて変化を見つめています。
柔らかい土の方が水の落ちる速度がやや速い事を体験しました。ふかふかの土は、どのようにしてできるのだろうね?
子どもたちから、「ミミズ」、「ダンゴムシ」と分解者の名前が挙がりました。
クヌギの葉っぱの中から見つけた白い塊を見せて、これは何だろう?「菌糸だ!」このような菌糸も落ち葉の分解者でふかふかの土を作る大切な役割をしているよ、と教えてくれました。
落ち葉の感触や、土の感触を体験した後は、坂を登り竹林に囲まれた空き地に移動です。
竹だけでなく、マツ、ヒノキ、サクラ、アカメガシ等様々な木々に囲まれた空間です。
ここでは手のひらを木の表面にあてて感じ取ろうです。
温かい、ひんやり、ざらざら、すべすべ、ごつごつと同じものはありません。
竹はひんやり、樹木は何となく温かい感じです。
先生は、温かさの違いをセンサーで実測してくれました。
太陽が当たる木の幹では何と32℃、陽が差さない日陰の竹の表面は18℃と大きな差がありました。
温度を数字で表すと子どもたちはとても興味を示していました。
「みんなが昆虫だったら冬の寒い間はどこにいたいかな?」と投げかけがありました。
最後は、大池まで歩きました。
開けた大池と谷津田の景色、少し膨らんだ桜の花芽、のどかな景色を全身で感じながら里山ならではの雰囲気を味わいました。
今日は五感を通してたっぷり自然を観察して、生き物との距離がぐんと縮まり共に生きているという感覚になりました。
子どもたちも終始これから伸びる草花のように活動的でした。今日の為に下見をして下さり、色々なものをご準備頂きとても楽しい観察会となりました。
誠にありがとうございました。
文・写真:Tanoue
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