講師:鶴田学さん、佐藤和明さん(宍塚の自然と歴史の会)
参加者:子ども14名 大人24名(申込総数146名)
昆虫は昼だけでなく、暗くなって活発に活動するものもいます。
この時期はセミの羽化の季節、夏の夜に現れる昆虫など日頃はなかなか見られない闇の世界の観察です。
今回の講師の鶴田さん、佐藤さん、それに片山さんは会が発足した30年以上も前から宍塚の里山の昆虫や植物、野鳥を毎週継続して観察しておられ、貴重なデータを残されています。
開催に当たってはクヌギやコナラに蜜を付けるベイトトラップ、光によるライトトラップを準備して頂き、里道の安全を確保するために里山さわやか隊の皆さんが草刈りや倒木の処理を念入りに行ってくれました。
多くの方々の協力で夜の昆虫観察会が実現できます。
さて、今年はどんな虫たちで出合えるのだろう。4グループに分かれワクワクしながらの出発です。
先ずは、出発地点の上高津貝塚公園でクヌギやコナラ、スダジイ、トチの木々の幹にライトを当てて虫を探しました。
「いる、いる!」子ども達の歓声です。
体に土を付けた丸い豆のような小さなニイニイゼミの幼虫が土の中から這い出ている、木の幹をゆっくり登っている、背中が割れて脱皮の準備、イナバウワーのようにのけぞる白い体、羽がすっかり伸びて成虫になったニイニイゼミ、羽化の過程を全て見ることができました。
その他、10センチ以上もあるでっかいナナフシ、とても綺麗な大型の蛾のウンモンスズメ、木の幹の色をした大きなヤマナメクジ、ヤブキリもいて羽化したての柔らかいセミを狙っているようです。
セミの羽化とその周辺に現れる虫たちを十分堪能し、次はいよいよ林の奥、真っ暗闇の世界へと入っていきます。コナラの大木を見上げると、コクワガタやカブトムシがいて子どもたちは驚いたように見入っていました。
よく見るとヤスデやムカデの姿もあり、私たちに驚いたトンボがホバリング、スズメガの小さな目がオレンジ色に輝き、ライトを照らすと森の不思議な昆虫たちに出合いました。
そして次は谷津の湿地沿いの山道へと向かいます。
一人でとても来ることのできない細い山道では両側の草むらの中で、また林の中でほのかに光を放っています。
「あそこにも、ここにも光ってる!」今では見ることのできないかすかな蛍の光です。
オバボタルなどの陸生のホタルの幼虫で足元の草にとまったまま光を放っており、そっと捕まえて観察しました。2センチくらいの細長い黒い幼虫でした。
最後は鎌倉街道に出てナラ枯れ対策のためコナラに仕掛けたトラップを見学、道に落ちていたスズメガの成虫を拾って幹にそっと移してあげる子も。
そしていよいよ今夜のクライマックス、ライトトラップの見学です。
シーツのような大きな白い布に蛍光灯の光を当てて昆虫たちをおびき寄せます。沢山の森の甲虫やガが寄って来ています。
昆虫の多さにも驚きですが上へ下へと激しく動のもいます。
ノコギリクワガタ、コクワガタ、ノコギリカミキリ、ミヤマカミキリ、アオドウガネ、コフキコガネ仲間、サクラコガネ、ガの仲間、森の昆虫たちが一堂に集まり楽しそうです。
スリル満点の世界で貴重な体験をした子ども大人も身近な里山の生き物たちの多様さに驚き、心打たれた観察会でした。
開催に当たり沢山のご準備頂いた、佐藤さん、鶴田さんに心より感謝申し上げます。
さて、今回観察した昆虫類やその他生き物を鶴田さんがまとめて下さいました。
全部で約50種ですがその内訳は、ガの仲間10種、チョウ2種、カメムシ目3種、甲虫16種、バッタ目Ⅰ種、その他の昆虫5種、爬虫類1種、両生類1種、貝類5種、クモ類2種、その他4種でした。
(文・写真:環境教育部会 Tanoue)