2022年2月4日金曜日

月例テーマ観察会「冬の野鳥」2022.1.9

講師:筑波大学大学院博士課程 水越かのんさん(助手:戸咲子さん、須藤七海さん)

年明け間もなく関東地方は5年ぶりの大雪に見舞われました。まだその雪が沢山残る里山で観察会を開催しました。


講師より参加者に双眼鏡の使い方の説明があり、早速ハス田に向かいました。

丁度蓮根の収穫作業が行われており、モーターの大きな音に驚いてサギやシギの姿が全く見られません。


ヌルデの木立はまだ房状の実が沢山垂れ下がり数匹の野鳥の姿がみられます。

目が白く、うぐいす色の小さなメジロが実をついばんでいます。

双眼鏡を通して子ども達は「見えた、見えた!かわい~い!かわい~い!動いた!」と、感動を口にしています。

他にもヒヨドリやキジバトの姿もありました。


暫く農道を歩くと遠方の民家のフェンスに止まる薄茶色のモズを発見。

モズは昆虫やハエを食べる肉食で「モズのはやにえ」が話題となりました。

学園線沿いの電線ではシベリアから飛来した渡り鳥、木の実や小さな虫を食べるツグミを観察しました。


いよいよまだ雪が沢山残る里山に入ります。

山道では子ども達は楽しそうに凍り付いた雪をサクサク踏みしめ、両手で雪を集めては小川に入れ雪解けを楽しみました。


果樹園では先程話題の「モズのはやにえ」がないか、皆で探しました。

ありました!羽の付いた昆虫の体の一部が梅の木の枝に刺さって黒く乾燥していました。なんの為にモズはこのような「はやにえ」を作るのだろう?子供たちに問いかけられました。

非常食として、またオスがメスへのアピールとして作るとの説もあるそうです。



そして最後に坂を一気に上がるとそこは別世界です。

湖水一面は凍り付き、太陽の光に照らされ氷が輝き幻想的な光景です。

一面凍結した湖面の中ほどは楕円形に凍っていない部分があり水鳥たちが仲良く休んでいます。

一方では数羽のオオバンが氷の上をトコトコ歩いています。

早速双眼鏡でどんな水鳥がいるのか観察です。

マガモ、コガモ、トモエガモ、ホシハジロ、図鑑を出して種を確認する子どももいます。



しばらく水鳥の観察を堪能して、次は会が保存している野鳥の剥製を使ってレクチャーです。

先ず水鳥の紹介です。

嘴が広くて大きいハシビロガモ、マガモのきれいな羽、黒い体に赤い目のオオバンです。

陸生の小鳥では森の宝石のカワセミ、ジョウビタキ、コゲラ、シメ、シジュウカラです。

水鳥の脚にある水かき、ハシビロガモの餌をこし取るブラシ付きのくちばし、胸の柔らかい羽毛など、一つ一つ触ってその感触を確かめました。

水鳥が氷の池で過ごすことができるのはこの柔らかい羽毛のお陰です。


バンは陸を歩くため脚には水かきがなく、嘴はエサを取るのに便利に尖っています。

また陸生の小型の鳥の脚は細く小さな指3本を足の前に、1本は後ろ指で捕まる仕組みです。

木を登るキツツキは3本の指の3番目の1本を後ろに回してXのような形にして木登りします。カワセミは細長いスマートな体形、長い嘴で一気に川にダイブして魚を捕らえるなど、生活の仕方によって体形がそれぞれ違っていること、実物を見ながら確認しました。










最後は真っ白い大きな羽は白鳥です。この白鳥も大池で死んでいたものです。

この白鳥について及川ひろみさんから紹介がありました。大池にめったに白鳥はきませんが、ある年仲良く2羽の白鳥が飛来していましたが、いつの間にか1羽が頭を垂れ動かなくなり死亡していました。

回収したその白鳥を持った感触は「とても軽い」と、感じたそうで体重は4㎏でした。

しかし、専門家に相談したところ鉛中毒かも知れないとの事でした。

地元宍塚小学校の出前授業で解剖し、取り出した脳と筋肉を大学に送って分析してもらった所、やはり鉛中毒との結果が届きました。

何故、鉛中毒なのか。

当時散弾銃が多く使用され、弾に鉛が使用されていました。どこかの場所で弾を餌と共に食べ人間の行動により野鳥が被害に遭ったと考えられます。


様々な野鳥を観察したり、実物を手に取って感触を確かめたり、どれも興味深い話を耳で聞き、子ども達の興味関心は高められたのか最後の質問タイムは大変盛り上がりました。

学生さん方には年末の忙しい中、下見をして下さり、興味を持てる準備をいろいろして下さり有意義な野鳥観察会が開催できました。心より感謝申し上げます。

 

(文・写真:Tanoue)

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