2021年6月13日日曜日

6/13 月例テーマ観察会「アリ」

月例テーマ観察会「アリ」は、鈴木浩二郎さん(近藤蟻蜘蛛研究所)とお仲間の3名が講師をして下さり、子ども19名・大人23名の参加となりました。

気温は夏日でしたが里山の爽やかな木陰の微風が心地よく楽しい観察会となりました。

ハチとアリは同じ仲間、進化の過程はハチが先に現れ陸上に生活を始め、後から発生したアリは土中に潜っての生活となりました。の為、アリの視力は弱く明かりがかすかに見える位、その代わり大きな触角を持ち、フェロモンという物質を出し仲間に知らせ集団行動を取って威嚇できます。

こんなアリの面白い話を聞いて興味は津々となりました。


里山に移動途中の事です。コンクリート道の丁度真ん中に穴があり、羽を付けた沢山の大小のアリが忙しそうに出入りをしています。

結婚のための飛行開始体制に入った「サムライアリ」です。年1回子孫を残すため羽を出して空中に飛び立ったオスは、フェロモンを出して同じように他の巣から飛び立った、これから女王と成るべくメスを呼び寄せ結婚をするのです。

偶然にも大変珍しいアリの結婚行動に出くわし皆で暫く観察しました。

しかもこのサムライアリ、侍とあって武器である大顎を持ちますがエサは自分では採らずクロヤマアリの働きアリに養ってもらい、クロヤマアリの繭を盗みに行くことから「狩りするアリ」とも言われています。


次に土手下の道路脇をうす黄色のアリです。よく観察すると腹部はハート型で先端が尻上がりになっており名前の通りキイロシリアゲアリでした。

更に進んで平地で陽の当たる三角広場では、クロナガアリが誘因用に置かれたカゼクサのタネに集まり始めていました。本来、タネの多い春と秋に出現するアリです。クロナガアリはタネを主食としたアリで地中深く3~4mもの巣を作って生活しています。巣に運ばれたタネはクロナガアリの体液でコーティングされ決して芽が出ることはありません。小さなアリのすごい力に圧倒されます。

その隣では最もよく見られるアミメアリの帯のような行列です。地面だけでなく樹木の幹を集団で餌に向かって移動しています。杉の大きな幹の隙間を出入りしていたのは腹部に薄い黄色の斑点や縞が4つあるヨツボシオオアリ。


山道の土や朽ちた木、樹木を住み家とするアリを十分堪能して次は竹林の広場に移動しました。倒れた竹が大小朽ちかけています。竹を割って開くと沢山の幼虫や卵、サナギと共に様々なアリの巣を見つけました。ムネボソアリ、アズマオオズアリ、クロクサアリ、ヤマトアシナガアリ、トビイロケアリ等がいました。


アリは暗い土の中ばかりでなく、木の幹、朽ち木、落ち葉の下、古い竹の中を利用して自然の中でたくましく生きていました。

日本には約300種のアリがいるそうですが、今回の観察会では短い時間の中で16種のアリを発見してその多様さに驚きました。

私たちも参加人数が多くアリの如くの行列をなしての観察会でしたが4名の専門家による丁寧な解説を頂き新緑の里山でとても有意義な時間を過ごすことができました。心より感謝申し上げます。

(文・写真:Tanoue)

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