11月月例観察会「実とタネ」
子ども(8名)大人(19名)
2025.11.16(日)晴れ
講師:植物生態学者 NHK子供科学電話相談 多田多恵子さん

宍塚の里山の植物たちはどのような冬越しの準備をしているのだろうか。
植物の生態に詳しい多田先生に教えていただきました。
早速、里山の入り口の草むらにカラカラに乾いたユリの実を見つけました。
外来種のタカサゴユリです。
茎をもって振ると実から平たい小さなタネがパラパラと頭に落ちて、子供たちは楽しそうに振って遊びました。
長い筒状のユリの実は熟して乾くと縦に3つに裂けますが、裂け目が細かい網目状になるのでタネはこぼれず、強い風が吹いて網目から風が入ると一挙に舞い上がる仕組みです。
私たちの知らない植物の生態は魅力がいっぱいです。
坂道に差し掛かると、道端は秋の草でにぎわっています。
先生はタブレットを使って実やタネを拡大し、草花の不思議を見せてくれました。コセンダングサ、チカラシバ等、人にくっつく仕掛けがよく分かりました。
今度は大きなカラスウリ、ミツバアケビ、実を開けてタネを観察しました。
どれもねばねばのゼリー状物質に覆われています。
小鳥がついばんで喉をスルリと通り抜け糞を通して遠くに運ばれるという素晴らしい仕組みです。
植物は鳥や動物、昆虫との関係が深いことが分かります。
最近増えている外来種のチュウゴクアミガサハゴロモは、茶色の体で羽に小さな白い斑点を持つ成虫が木の枝にとまっています。
ハゴロモ科はセミに近い仲間で、タブレットに写る顔は目から口、腹にかけて何とセミそっくりです。
特に口がストローで果物の汁を吸うため最近急速に果樹園で被害が出ています。
ツル性のヤマノイモの実は鼻にくっ付けて天狗遊びができ、スズメウリはネックレスになりそうなかわいい実です。
高い木立を見上げるとミツバアケビがたくさん垂れ下がっていますが手が届きません。
イイギリは木のてっぺんにある赤い実が鳥を呼んでいるようです。
ムクノキの黒い実は、地面に落ちても甘い香りに寄って来る動物たちに食べられるとか。
シロダモの白い花、羽のような白い毛をつけたセンニンソウの種、アカネの黒い実、黄色い実のヘクソカズラ、真っ赤に紅葉したニシキギ、ヌルデの房状の実は表面が白っぽく舐めると塩の味など、どれも、とても個性豊かです。
大池の堤防では、ガマの穂、長い茎の上のヨシの穂、ヒシの実を観察しました。
どれも水辺の植物で、ガマの実は水鳥の羽にくっついたり風に吹かれて遠くに運ばれます。
オニグルミの木の下では実を拾いました。
緑色の皮に包まれた実は、地面に落ちると皮が茶色く乾いてむけて硬いクルミがむき出しになっています。
里山のアカネズミが歯で堅い殻に穴を開けて食べ、冬の食糧として貯蔵します。
アカネズミが隠したところを忘れたり食べ残したりしたものから芽が出て子孫が残る仕組みです。
植物は自ら移動できないけれど、様々な力を借りて子孫を残そうと工夫して生きていることがよく分かりました。
テーブルに採取した実やタネを、「風で」「鳥や動物が食べる」「動物が運ぶ」「くっつく」「自分ではじける」「その他」の表示を並べ、該当の場所に分類しながら置いていきました。
約50種、一番多かったのは「鳥や動物が食べる」で、赤や黄色が多く彩も豊かでした。
最後はヤブランの実の外側を剥いて机に弾ませてスーパーボール遊びをしました。
真っ赤なマンリョウの実で試した子がいて、やはり弾むことがわかりました。
里山の美しい紅葉を味わいながら、多様な植物の実やタネの戦略を楽しく教えていただき思い出に残る観察会となりました。
東京から朝早くおいでくださり、楽しいご指導に心より感謝申し上げます。
文・写真:Tanoue


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