月例観察会「樹木」2023.12.10(晴れ)
参加者:子ども16人 大人21人
講師:筑波大学生命環境系 教授 上條隆志さん
12月と言うのに里山の木々はまだ秋の名残り、晩秋の谷津田は美しい景色です。
森林学がご専門の上條隆志先生には、里山の木々がこれから迎える冬や春に備えてどのような準備をしているのかをテーマにレクチャーして頂きました。
この実はネズミ色で形がネズミの糞の形に似ているので「ネズミモチ」という。
一粒ずつ手のひらに乗せていただき色と形を観察しました。
中国からの移入種のため「トウネズミモチ」という。
見上げると大木の枝先いっぱいに豪快に実を付けた姿は圧巻です。
次は、常緑針葉樹のスギの実、来年春先に花粉を飛ばす準備はこれからで、沢山の雄花の実の膨らみ、まだ小さな小さな雌花、そして今年春の実を付けた丸い球果、その天辺から葉が伸びている。
杉の詳しい生態のお話に興味津々となりました。
その先には葉をすっかり落とした落葉樹のウワミズザクラ、小枝では来春伸びる木の芽が顔を出している。
葉も落とすが、実が付かない小さな枝も落とす珍しい木、枝を手元に引いて少し触ると「ポキン」と飛んで落ちた。
次はコナラの芽の観察、枝先で4枚の紅葉した葉がまだ落ちないでついておりその基部では来春延びる4個の木の芽が顔を出している。
木々はすっかり冬越しと来春の準備をしていました。
冬越しの観察の次は、里山の木の実や葉を「色」で分けてみようです。
見つけた木の実、葉の色と同じ色のシールを台紙に貼っていきます。
先生が準備してくださった丸いシールが子どもたちに手渡され、子どもたちはそれを持って木の実探しです。
小川沿いの木の実を見つけては楽しそうにシールを貼りました。
ヤブコウジ「赤」、マンリョウ「赤」、ヤブラン「黒」「紺」、アオキ「緑」「オレンジ」、ノブドウ「青」「水色」、カラスウリ「オレンジ」、ムラサキシキブ「紫」、ジャノヒゲ「青」、カラタチ「黄」、ガマズミ「赤」と、色とりどり沢山の実を見つけては盛り上がりました。
迎える寒い冬に向かって木々たちは何と美しい色で里山を飾ってくれているのでしょう。
大池に近づき、今度はコナラやクヌギの木の下でドングリ探しです。
きれいな形、穴が開いたもの、形が崩れたもの、色々集めました。皆で集めたドングリはとてもたくさんになりました。
その中から綺麗な1個を取り出し、割ります。
子葉で詰まった栄養たっぷりのドングリは生き物たちの貴重なエサなのです。
また、穴の空いたドングリは何故穴が開いているのだろう?
大きい穴もあるし、消えそうな小さな穴も見える、これはシギゾウムシが産卵のために開けた穴と幼虫が育って出た穴、ではシギゾウムシがまだいるかも知れない。
やや古いドングリを割ると白い幼虫が見えました。これから外に出て土の中に移動するシギゾウムシの幼虫です。
たかがドングリされどドングリ、驚くことばかりです。
大池のカモたちを見ながら土手を通って次はゲンベイヤマへと歩きました。
ここは紅葉がとても美しい場所です。
明るく開けたゲンベイヤマは夏には大きなヤマユリがあちこちで見られました。
今、ヤマユリは茎の先に茶色の実が乾燥して口を開いています。
先生は長い箸を使ってその中から種を1つそっと取り出しました。
5㎜ほどの小さな種が重なり合って入っています。
ヤマユリの種は、風の力で種が飛ばされるので、その時を待っているのです。
また箸を使って元の実に戻してやりました。優しい心遣いに子どもたちも心を打たれたことでしょう。
さて、里山の木の実と葉は何色が多かったでしょうか?
先生がシールで一杯になった紙のボードを高く持ち上げると、里山の木の実の色は「赤」が一番と分かり、歓声が上がりました。
その後は子どもたちからの質問タイムです。
竹は木なんですか?根の出たドングリは何年で大きくなりますか?などに答えて頂きました。
先生は今回の観察会で樹木にも動きがある、そんな姿を観察して同じ命として見て欲しいとメッセージを頂きました。
分かりやすい解説と手に取っての数々の体験に先生の気持ちが充分伝わりました。
お忙しい中、子どもたちが心躍る楽しい時間を有難うございました。感謝申し上げます。
文・写真:Tanoue
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