夜の観察会「秋の鳴く虫」
9 月 23 日(土) 講師:中原 直子
参加者:子ども 17 名 大人 20 名
夏の猛暑がやっと過ぎて、まだ暑い日が続くものの秋の気配が少し濃くなってきました。今年はスズムシが多く、いたるところで鳴き声を聴くことができます。つくば駅の周辺でもたくさんのスズムシの声が聴こえていました。
さて、今年は唱歌「むしのこえ」を題材に宍塚の里山の鳴く虫を観察してみることにしました。
この中に出てくる秋の鳴く虫はマツムシ、スズムシ、コオロギ(エンマコオロギかツヅレサセコオロギと考えられる)、クツワムシ、ウマオイの 5 種です。このうち、宍塚には何種がいるでしょうか。
まず、ふれあい農園の周辺の草地で昆虫を探します。エンマコオロギ、ツヅレサセコオロギ、ミツカドコオロギ、シバスズ、マダラスズなどの声が聴こえました。
草を踏むと、体が大きなエンマコオロギが飛び出します。この他、鳴く虫ではありませんが、同じバッタ目(直翅目)の昆虫では、コバネイナゴとツチイナゴが見られました。鳴く虫のクビキリギスの幼虫も多くいましたが、こちらは成虫で越冬して春に鳴く虫です。
草地で電池式のランタンと白い鉢皿で簡易ライトトラップをかけると、エンマコオロギとマダラスズがやってきました。他の昆虫では、カメムシ目のヨコバイの仲間、コウチュウ目のゴモクムシの仲間とゴミムシの仲間、チョウ目のメイガの仲間などがやってきました。コオロギやキリギリスの仲間には正の走光性を持ち、光に誘引される種が多くいます。また、後翅が発達し飛べる種も多く、中でも特に飛行能力が高い長翅型が現れる種もいます。エンマコオロギやスズムシ、アオマツムシなどはよく灯火に飛来します。
場所を変えて、鳴く虫の声と姿を探しながら散策路を大池まで歩きます。林縁の落葉の下にはオカメコオロギ類が見られました。キリッキリッと威嚇音が聴こえたのでそっと落葉をめくってみると、ツヅレサセコオロギの雄が2頭、喧嘩をしていました。
大池の堤防でしばし黙って虫の鳴き声に耳を傾けます。参加者のみんなは何種の声が聴こえたでしょうか。足元の草むらからはエンマコオロギ、ツヅレサセコオロギ、オカメコオロギ、シバスズ、マダラスズ、クマスズムシ、ヨシ原の方からはクサキリ、林の方からはハ
ヤシノウマオイの声が聴こえました。
最後に、三角広場でカンタンとセスジツユムシの声を聴きながらまとめをしました。今日は 10 種以上の鳴く虫の声が確認でき、「むしのこえ」に出てくる鳴く虫はスズムシ、コオロギ、ウマオイがいました。なぜ、マツムシとクツワムシは宍塚にいないのでしょうか。こ
の 2 種は飛行能力が低く飛んで移動することがないため、開発などによる生息環境の消滅と命運を共にします。茨城県の 2016 年のレッドリストではクツワムシは準絶滅危惧 IB、マツムシは準絶滅危惧とされています。この 2種はかつて宍塚にはいたのか、もし過去にいたのならなぜ姿が見られなくなったのか、これからそれを調べて知っていく必要があります。
By Yoshitake
(五斗蒔から)
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