2026年7月20日
講師:吉武直子・黒澤順一(本会会員)
参加者:子ども17名、大人12名 スタッフ:5名(+子ども1名)
連日熱中症アラートが出ている中でしたが、幸い夕方になると里山は幾分か涼しくなりました。あまりに暑すぎると昆虫たちも動きが鈍くなります。
今日の観察会は上高津貝塚歴史の広場の縁の雑木林からスタートです。日没近くなると地面からセミの幼虫が出てきて近くの樹に上り、羽化を始めます。この時期多く見られるのは土を体にまとった小さくて丸っこいニイニイゼミです。すでに白い体の大半が抜け出たものや、フィギュアスケートのイナバウアーのような姿勢のものがいました。ミンミンゼミ、アブラゼミも数登り始めや羽化始めのものが少数ですが見られました。
林の中には立ち枯れた樹があります。カミキリやゴミムシダマシの仲間はこのような樹の上に見られます。よく探すと、樹皮に擬態した色のナガゴマフカミキリがたくさん見つかりました。
樹液を出しているクヌギも数本ありますが、昆虫が集まっている所とそうでない所があります。樹液酒場にはコクワガタ、ノコギリクワガタのメスやゴミムシダマシの仲間が来ていましたが、数はそう多くありませんでした。大歯型のノコギリクワガタのオスやカブトムシは林の外側の風通しの良いクヌギの樹で見られました。
鎌倉街道の入り口から宝篋印塔までの散策路を歩くと、道脇の植物上にナナフシモドキやヤブキリ、エゾツユムシ、ササキリの幼虫など直翅系昆虫がいます。
葉の間に白く何かの眼が光っているので照らしてみると、ハシリグモの類でした。樹液が出ている樹にはキシタバ類が訪れていました。前翅は樹皮に擬態した色、後翅は鮮やかな黄色のガの仲間です。
鎌倉街道から大池に向かう路では今年も陸生ボタルの光を見ることができました。道に入る前にしばしライトを消して目を慣らした甲斐がありました。ここには数種の陸生ボタルがいることが記録されており、今日見たものはムネクリイロボタルという種の成虫です。
再び鎌倉街道を戻り、宝篋印塔の付近で張っておいたライトトラップを観察しました。条件が良くないのか飛来した昆虫は少なめでしたが、ミヤマカミキリやウスバカミキリ、コシマゲンゴロウが来ていました。
最後、行きに見たセミの幼虫の羽化がどれほど進んだか観察しました。約2時間後ではニイニイゼミの数も多くなり、ミンミンゼミとアブラゼミもすっかり翅が伸びていました。羽化が進んだ一方で、様々なアリやトビズムカデに食べられているものも見られました。ムカデは毒を持つ危険生物で注意が必要ですが、誤った触れ方をしなければとても美しい、かっこいい生き物です。
大型の甲虫が多く訪れるような楽しい樹液酒場がずいぶん少なくなったように感じます。ナラ枯れによる一時的な樹液の滲出は多くありますが、シロスジカミキリやボクトウガの幼虫が穿孔してできる良い樹皮めくれや樹液酒場が減っているようです。毎年の観察会を通して、生物が作る環境の変化も参加者とともに継続観察していければよいですね。

参考 ボクトウガ・幼虫 灯火に来た成虫By Yoshiさん(五斗蒔から)