2022年9月17日土曜日

2022.9.17「鳴く虫」夜の観察会

講師:中原直子さん(宍塚の自然と歴史の会)

参加者:子ども18名、大人12名(申込総数42名)

 毎年この時期に開催されている鳴く虫の観察会ですが、今年ほど鳴く虫の種数が少なかった年はなかったのではないでしょうか。

 午後6時半に駐車場を出発し、ふれあい農園から大池のコースで夜の生き物を探しました。

 その間、どこを歩いていても大音量のアオマツムシの鳴き声が樹上から聞こえてきます。

 アオマツムシは外来種で、その大きな鳴き声が他の在来種に悪影響を及ぼすと懸念されていますが、一晩中鳴き続けるわけではなく、どんな影響があるかは今のところ科学的に結論を出されていません。

 

 ふれあい農園の水草保存池の空水槽でコバネイナゴとショウリョウバッタとオオカマキリが溺死していました。

 水中にはハリガネムシが泳いでおり、おそらくオオカマキリに寄生したものが脱出したのでしょう。

 一時的にできた水たまりでも繁殖するヒメゲンゴロウとコシマゲンゴロウ、ハイイロゲンゴロウの成虫と幼虫の姿もありました。彼らにとっては溺死した昆虫は大きなごちそうです。

 大池に向かう間の水路に30cm弱のマムシがいました。とぐろを巻いていた所に大勢の人間がやってきたので驚いたのでしょう。うろたえてこちらに向かってきたので、ライトの光を当てたところ、方向転換して暗い田んぼ側へと入っていきました。強い毒を持ったヘビなので、互いのために咬傷事故は起こしたくないものです。

 大池に近づいた辺りでだんだんスズムシの鳴き声が多くなってきました。ススキやササの茂みの根際で鳴くため、なかなか姿を見ることはできません。「飼っているスズムシと鳴き声が違う」と言われた方がいました。その通り、野外で聞かれるのは個別に離れていて「呼び鳴き」のまろやかな声ですが、飼育下で高密度状態にあると「争い鳴き」の入った強い調子の鳴き声になります。

 三角広場の辺りはイネ科の草地とクズの藪があり、今日一番多くの鳴き声を聞くことができました。エンマコオロギ・ハラオカメコオロギ・ツヅレサセコオロギ・シバスズ・マダラスズ・セスジツユムシ・カンタンが鳴いていました。クビキリギスとツチイナゴの幼虫も多くみられました。クビキリギスも鳴く虫の1種ですが、秋に羽化して成虫で越冬し、翌春に鳴きます。 

 最後に駐車場でスズムシの声が近くから聞こえたのでじっくり探すと、ハート形に立てた前翅を震わせる姿を見ることができました。スズムシは都市化が進んだ地域から姿を消している傾向にあります。さいわい、つくば市や土浦市の住宅地ではまだ声が聞こえるところが多くあります。いつまでもこの鳴き声が聞こえる環境であると良いですね。

(文・写真:環境教育部会 Yoshitake)



0 件のコメント:

コメントを投稿