講師:ミュージアムパーク茨城県自然博物館 元首席学芸員 小幡和男さん
参加者:子ども19名、大人28名。
今回はコロナ蔓延防止により3カ月ぶりの開催となりました。清々しい天候に恵まれ絶好の観察日和です。
今回の講師は長く博物館で植物の調査研究や観察指導に当たられた小幡和男先生です。先生は事前に下見をされ里山で見られる春の草花・木の一覧表を準備して下り観察した植物にチェックを入れていきました。
挨拶の後、情報館周辺の草花2種について解説がありました。先生が小さい頃味わったというスイバです。それぞれが茎を折って味わいました。
子どもたちからは「くさかった」「おいしかった」との感想です。「酸い葉」のごとく酸っぱい味が口に広がりました。
次はスイバの先に付いている花の観察、雄株、雌株それぞれルーペで色や形の違いを観察し特徴を捉えました。
スイバの次は花盛りのタンポポです。
タンポポの花を持って先生は、花びらは何処ですかとの質問です。
花を縦に割ってみると、沢山の花びらに見えるもの一つ一つが実は花で、根元に実を付けてぎっしり並んでいます。
一つの花に見えたものは200個から300個の花の集合体だったのです。
蕾、花、咲き終わった花、綿毛を付け長く伸びた茎、それぞれの姿が違って子孫を残そうと懸命に頑張っている姿です。
セイヨウタンポポとカントウタンポポの「苞」(がくに見えるところ)の違いも見て学びました。
次は農園への移動の道端でカラスノエンドウと最近減少しているスズメノエンドウを比べて観察です。
花の形や色、花の付き方、葉の形、さやの実の数、同じエンドウなのに大きく違います。
更にカラスノエンドウとスズメノエンドウの間のカスマグサもあり、どんな植物なのか3つを並べてみたいと興味がわきました。
里山の入り口には新緑に囲まれた美しい景色、空にはサシバのつがいが気持ちよさそうに飛んでいます。
オニクルミの木の奥にウラシマソウが見ごろというので見に行きました。
ウラシマソウは奇妙な花(仏炎苞)と長い紐が特徴です。浦島太郎の釣糸からウラシマソウと名付けられたとか。
名前のいわれも面白いですが、仏炎苞に隙間の無い雌株、隙間のある雄株、また雌雄の性転換のある珍しい植物であることなど他の草花と大きく違っています。
残りの時間は草地で一家族5種類の草花を集め4台のテーブルに並べました。
ざっと30種ほどあります。
先生は一つ一つ丁寧に植物の特徴と名前を教えてくれ、植物にまつわる不思議な話に子ども達の目は輝き質問にも楽しそうに答えています。
先生が下見で確認された草花、樹木は86種でしたが、今日は約半数について解説して頂きました。
植物への興味をそそられる楽しいお話、あっという間に昼が過ぎていました。
午後は先生の特別の計らいで、4月より里山体験プログラムに参加している大学生3名対象にスペシャル観察会を1時間開催して頂き、学生さんたちとの交流を図ってくださいました。
ご丁寧なご指導に心より感謝申し上げます。
(文・写真:Tanoue)