2025年12月14日日曜日

2025/12/14 12月の月例観察会「コケ」

2025.12.14(日)雨 参加者 子ども4名、大人14名    

講師:茨城県ミュージアムパーク自然博物館 学芸員 鵜沢美穂子先生

 コケは私たちの生活の中にはとても身近にありますが余り注目されず、ひっそりと静かに生きています。今回コケの研究は何と20年にも及ぶ鵜沢先生に「ようこそ魅惑のコケの世界へ」というタイトルで、地面に一番近い所で静かに生きるコケの魅力を沢山教えて頂きました。

 事前に先生が下見で観察された宍塚の里山のコケ16種類の写真入りの台帳を作成して準備してくださり、現地で標本づくりを体験することができました。

小雨が降る中でしたが、前半は六兵衛坂に行ってコケの採取方法を教えて頂き、ヘラで採取したコケを観察しながら該当の種名の所にテープで貼りました。

 ここで採取できたのはネジクチゴケ、キシュウツボゴケ、ハマキゴケ、ミカヅキゼニゴケ、ゼニゴケの5種です。よく観察するとどれも姿や形に特徴がありとても個性豊かです。残り11種の採取は雨のため採取できず残念ですが、予定を変更して宍塚公民館に移動しての講義となりました。

 コケは、植物のように養分や水分を吸い上げるための根が無く、地面に張り付いて生活して胞子で増えるため、分類がキノコのように思われますが実は植物という事です。細胞の中には葉緑体があり、光合成をして生きています。

 全身で水分を吸って生きています。乾燥に強い種も多く、乾いて水分が無い時は休眠状態で何か月も生きています。水分を得ると再び元のコケに戻ります。コケには花は無く、胞子嚢(蒴)から胞子が飛び出します。発芽した雄株からは精子が作られ、雌株には卵細胞ができて受精が起き、胞子をつくり増えていくしくみです。

 先生の保存標本からコスギゴケが配られ、ルーペで観察しました。細い柄の先に付いている小さな胞子嚢(蒴)から帽子を取ってルーペで蒴を観察しました。とても小さな胞子嚢です。

 胞子嚢からどのように胞子は飛び出すのか、雨が降る時は水と共に流れ、風が吹いて風で飛ぶもの、パチンとはじけて自ら飛び出す、動物にくっついて運ばれるなど、胞子の飛び方は、普通の植物の実の飛び方と同じで、自然界の力を上手く利用して子孫を残していることに感心しました。

 コケは世界に約20000種、日本には約1900種が生息しており、小さくて目立たないコケの種類の多さに驚きです。コケは、スギゴケの仲間(蘚類)、ゼニゴケの仲間(苔類)、ツノゴケの3種に分けられます。一番多いのが蘚類の約1300種、苔類の600種、ツノゴケの17種でスギゴケの仲間が圧倒的に多いとの事です。

 その他、住む環境によって人間の背丈ほどもあるコケ、光に反射して光るヒカリゴケ、湿地の中で生きるミズゴケ、高山に生える『糞ゴケ』、水田に浮くイチョウウキゴケ、雲霧林に生息するコケ等、珍しいコケがスライドで紹介されました。

 最後に今日は行くことができなかった里山の水田で生息していた1㎜程のカゲロウゴケを顕微鏡で観察しました。細い葉に囲まれて小さな茶色の球状の胞子嚢があり大変珍しい形です。

 また、コケ採取上の留意点と、標本の保存方法や保存したコケの観察方法を教えて頂きました。

 質問タイムでは、どうやってコケを見つけるのか?売っているコケは栽培しているのか?食用にできるコケはあるのか?コケの絶滅危惧種はどの位あるのか?地球温暖化の影響はあるのか?等、質問も多く出され、コケの魅惑の世界に引き込まれ約2時間とても内容の濃い学習会となりました。

 先生には、下見で里山を歩かれ沢山のコケを観察して分類シートを作って頂いたり、雨天に備えて日ごろのご研究成果のスライドや標本をご準備頂いたり、とても内容の濃い観察会と学習会を企画していただきました。心より感謝申し上げます。  

文・写真:Tanoue



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