子ども17人 大人12人
講師:北方生物研究所 植田健仁さん。
週末は終日雨との天気予報でしたが、観察会が始まる夕方6時の空は小さな雨が残る程度になってくれました。
雨具を着て、ライトを持って出発です。
ふれあい農園の周りはカエルの観察にとても良い場所です。
参加者みんなで水路や休耕田を歩きながらカエルを探します。
観察会が始まった頃には静かだった田んぼでしたが、午後7時を過ぎるとカエルの声があちらこちらから聴こえてきました。
ゲッゲッゲッ…はニホンアマガエル、ケロロロロ…はシュレーゲルアオガエル、グェグェグェ…はヌマガエルです。
その中で、最も多く捕まえられたのはヌマガエルです。
この褐色の丸っこいカエルは元々関東にはいなかったカエルですが、関西以西の水生植物を関東に移植する際に紛れて移入し、分布を拡げています。
次に多いのはニホンアマガエルです。
日本列島に広く分布する最も身近な在来カエルで、田んぼ以外に住宅地でも見られます。
緑の体、丸い鼻面、眼から鼻にかけてのびる黒い線が特徴です。
喉が黒いのが雄。これは鳴嚢という鳴くための袋があるためです。
この2種にくらべ、カスタネットのような声のシュレーゲルアオガエルはなかなか見つかりません。
すぐそこで鳴いているのに見つからないのは、田んぼの畔などに横穴を掘り、その中で鳴いているためです。
成体はなかなか見つからないシュレーゲルアオガエルでしたが、白い泡の卵塊はいくつか見ることができました。
中には卵の他、もう孵化した白っぽい幼生(オタマジャクシ)もいました。
水路には幼生がいます。
今の時期よく見られるのはニホンアカガエルとニホンアマガエルの幼生です。
春先2月に産卵したニホンアカガエルの幼生はもう少しすると上陸するでしょう。
大池の堤防に移動してウシガエルの声を聴こうとしましたが、残念ながら鳴いておらず、先生への質問とお話タイムとなりました。
カエルの年齢は前肢の指をよく切れる刃物で切って骨の断面の年輪から知るそうです。
それによると、野生下ではアカガエルやシュレーゲルアオガエルの寿命は3年ほどで、ほとんどは1回産卵をすると死んでしまうそうです。
これに対し、アズマヒキガエルは一生に何度も産卵をして中には10年以上も生きるものもいるそうです。
この「年齢を知るために指を切る」という方法はヨーロッパでは動物福祉の観点から良くないものとされており、時にはこの方法を用いた研究論文が受け付けてもらえないということもあるそうです。
生物を知って守るための方法と生物を傷つけない仕組みの両立はとても難しい問題です。
頂いた資料にあるように、カエルは環境指標生物です。
今回、見つけ捕りが得意な子は10頭以上のカエルを捕まえました。
そのほとんどが移入のヌマガエルであることに些か不安を覚える一方、たくさんのカエルを支えられる環境であることに安心もしました。
終わりに、植田さんからアカガエルの石膏のレプリカをいただきました。
ありがとうございました。
文:Yoshitake