月例観察会「カエル」 2025.5.3(日)晴れ
参加者:子ども17名 大人14名
講師:吉川夏彦さん(国立科学博物館)、松島野江さん(国立環境研究所)
ゴールデンウィーク後半で、多くの参加者でした。やや暗くなってきた午後6時半に観察会スタートです。
里山に入ると、田んぼからカエルの鳴き声が聞こえてきます。
「カララッ」という鳴き声はシュレーゲルアオガエルです。
鳴き声がする方向を懐中電灯で照らしても姿が全然見つかりません。
田んぼの土の中に潜って鳴いているのです。
代掻きが終わった田んぼでは土に埋めるようにして産み落とされた白い泡の卵塊が見られました。
中を見てみると黄色の丸い粒状の卵が入っています。
これが孵化すると白いオタマジャクシになります。
最初は泡の中で腹の栄養を吸収しながら育ち、体が徐々に黒くなって泳ぎ出すころには黒っぽいオタマジャクシになるそうです。
田んぼや水路でたくさん泳いでいる、背面に2つの黒斑があるオタマジャクシはニホンアカガエルです。
2~3月に産卵するので、今はもう3cmほどの大きさになっています。
1年でカエルになるものと、2年かかるものがいるそうです。
里山にいる緑のカエル、シュレーゲルアオガエルとアマガエルを見比べるために2種を探しますが、なぜかアマガエルは踏み入ることが出来ない田んぼの方でたくさん鳴いていて捕まえられません。
そんな中、草地でカエルを探していた人が大きく立派なニホンアマガエルを捕まえました。早速比べてみます。
まず、体の色です。
個体差や変化はシュレーゲルでは緑の濃⇔淡であるのに対し、ニホンアマでは緑⇔褐色で地図のような模様があります。
次に肢です。
シュレーゲルは指の先に大きな吸盤がありますが、ニホンアマにはありません。
ニホンアマは後肢に泳ぐための大きな水かきがあります。
最後に顔です。
シュレーゲルは緑一色ですが、アマガエルには鼻から眼の間に黒い線があります。
国内外来種のヌマガエルも多く見られました。
元々静岡県以西に分布する種ですが、1990年終わり頃から関東でも見られるようになりました。
園芸植物や農業資材と共に移入したと言われています。
カエルが鳴くためにもつ袋の形は種によって違っていて、大きくは喉に一つのもの、両頬にあるものと分けられます。
シュレーゲルやアマガエルやヌマガエルは喉に一つ、ニホンアカガエルやウシガエルやトウキョウダルマガエルは両頬にあります。
最後に、捕まえた大きなウシガエルを観察しました。
ウシガエルは食用として北米から持ち込まれた外来種で、様々な在来種を捕食し在来自然環境に悪影響を及ぼすため現在は生きたままの運搬や飼育が禁じられている特定外来生物に指定されています。
このウシガエルはアメリカザリガニを食べていたようで、腹にゴツゴツと凹凸がありました。
宍塚周辺にはトウキョウダルマガエルが多くいるのですが、なぜかこの里山田んぼではいないか非常に稀で、今回も見られませんでした。
多くいても当然のような環境なのに、なぜここは空白地なのか、ぜひ今日の観察会に参加した皆さんに解明していってほしいものです。
写真・文:Yoshitake