7月14日(日) 月例観察会「キノコ」 曇り
参加者:子ども17名 大人21名
講師:国立科学博物館 保坂健太郎さん
猛暑続きで梅雨らしい季節感のない今年、今朝の里山は雨で輝く緑の草原に白いヤマユリが咲き始めています。
今日はどんなキノコに出会えるのか、ワクワクしながら集まった子どもたちです。
宍塚の里山にナラ枯れが入ってきたのは2020年、ナラ枯れの跡には真っ赤なカエンタケが大発生することが多いのだそうです。
「今日はカエンタケを見つけてみよう。」と、先生からの課題が出されました。カエンタケは猛毒だが触った後はしっかり手を洗えば大丈夫との事です。
六兵衛坂を上がる途中で初めて見つけたのは、大きなコナラの切株に肉厚の茶色の大きなコフキサルノコシカケです。
肉厚のサルノコシカケが何層にもくっ付いて老木から養分を吸収しながら逞しく成長しています。
コフキサルノコシカケの胞子を作る面は、こすると茶色に変色する性質を生かして、文字や絵を描いて美術品にも使われているとの事です。
坂を登ると整備された林に着きました。
これから落ち葉の上や朽木等からキノコ探しをします。各自が用意した手提げの紙袋を持って約30分間一生懸命探しました。
大小さまざまなキノコや朽ち木にキノコが付いたものまで大きなシートに沢山集まりました。
約40人で集めたキノコは先生の目でざっと30種以上です。
今年の夏は梅雨の間も雨が降り続くことがあまりなく、猛暑が続いたことが影響してか、本来はキノコが一番多い季節なのに大型のキノコがあまり生えていないとの事です。
そして、集まったキノコの解説が行われました。キノコの観察は、先ず形からとの事です。キノコはカサの裏から胞子が出て、周囲に飛散し、木や葉や土に付着しのち菌糸を伸ばし、子実体(実)、すなわちきのこができる。
キノコは胞子で増えるが胞子を出すカサの下の構造の違いについて解説がありました。
キノコをよく見るとどれも形が異なり、カサの裏がヒダ状(テングタケ類、ベニタケ類、カレバタケ等)、スポンジ状(イグチの仲間、サルノコシカケの仲間)、イボイボ状(ボタンイボタケ)になっているもの、球状で上に穴のあるもの(ツチグリの仲間)、ヒダもイボも穴もないホウキの形状をしたフサヒメホウキタケ、プヨプヨ感のシロキクラゲです。
形は違っていてもどれも胞子を出して増える仲間です。
実に個性的なキノコの形に驚かされました。
また、ツボを持つ猛毒のテングタケの仲間もあります。
形からの観察だけでなく、匂を嗅いだり(イボタケ)、ワサビカレバタキのカサをちぎってかんで辛味を確認したりの体験もしました。
五感を使ってキノコの観察の方法を教えて頂きました。今日の課題は真っ赤なカエンタケでしたが、残念ながら見つけることはできませんでした。
二か所目は大池に面したゲンベイ山です。
山の登り口、斜面の落ち葉の中に大きな真っ白いテングタケ(シロオニタケ)が佇んでいます。茎の下にはツボ、茎の上部にはツバがあり、真っ白い姿は、うっとりする程美しいキノコです。
しかし、食べることはできない猛毒、匂いは油っぽく感じました。
ゲンベイ山でも林の中で約20分キノコ採集をしました。
瞬く間に大型のイグチ(ニガイグチモドキ)が沢山集まりました。
イグチは傘の下がスポンジ状で、その中でもニガイグチの仲間は胞子はピンク~赤味をおびた色合いをしている特徴との事です。
また、ホコリタケの仲間のノウタケもありました。
丸い頭を叩くと茶色のホコリ状の胞子をぼこぼこ出します。
胞子を出しきったノウタケは袋状でとても柔らかい感触です。
今日は里山のキノコ採集、キノコの観察、分類、危険なキノコ等、目と手、そして口等、五感を使って観察することを教えて頂きました。
どんな所にキノコが生えているのか、採集体験をしながら里山の夏のキノコを楽しく学ぶことができました。
大変お忙しい中、観察会のために事前の下見やご準備をしてくださり心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
文・写真:Tanoue
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