2024年9月26日木曜日

2024.09.15 月例観察会「昆虫」

2024年9月15日(日) 9月月例観察会「昆虫」 晴れ

参加:子ども14名 大人21名   

講師:農業・食品産業技術総合研究機構 今野浩太郎さん


今世紀最高の猛暑は9月半ばというのに留まることのない勢いです。

そのような中、今野先生は昆虫が熱中症にかかっていないかと、2回も里山の下見をして下さいました。

当日もやはり猛暑でしたが木陰はやや涼しく、虫たちも沢山いて楽しい観察会となりました。

今野先生は以前NHKラジオの科学相談番組「親子ではてな?」の回答者を担当されたこともあり昆虫の生態にとても詳しく、お仕事の傍ら昆虫の研究をずっと続けられておられます。


今日はどのような虫たちに出合えるのか、暑さを忘れて子どもたちは目を輝かせています。

先生が指さしたのはカラタチの葉にいたアゲハの2齢幼虫です。

黒と白の小さな幼虫ですが子どもたちの目は鋭く、あそこにもここにもと沢山見つけました。


「この幼虫はなぜ鳥のウンコのような形をしているのかな?鳥に嫌われて食べられないように鳥のウンチのような形をして身を守っている。」

何と不思議な防衛能力なんでしょう。

そして暑さのためかしんなりしたの梅の葉を裏返し、びっしり並んだ5㎜程の黄緑色の幼虫を見せて、「体はトゲで覆われている、これは何だろう?」「中国の外来種、ヒロヘリアオイラガ、トゲをうっかり触るとビビッと電気ショックのような痛さ。

チャドクガという触るととてもかゆくなる毛虫も集団で身を寄せあってツバキの葉を食べるが、毒性が強い幼虫はこのように集合していることが多い。

鳥に狙われると一匹だけは犠牲になるが、触ったときの痛さと毒で次からは食べなくなる。」

一匹だけが犠牲になるという毒蛾の幼虫の特性には驚きです。


太いエノキの幹を這っているのは外来種のヨコヅナサシガメです。

まだ小さく、皮を脱いだばかりで背中が赤い。

「カメムシの一種で、針のような長い口は手前に曲がり生き物を刺して消化液を出しながら吸って生きている。集団でいることが多く待ち構えて生き物を襲う。ヨコヅナの名前の由来はお腹の縁の白黒縞模様が相撲の化粧まわしにていることから。」

小さな昆虫の集団行動や名前の由来に驚かされます。


クスノキの前では、葉の噛み跡を確認しながら幼虫がいないかと皆で探しました。

いました、いました、目ざとい子どもが真新しいチョウの抜け殻を見つけました。

次に緑色の小さな幼虫も見つけました。「これはどちらもアオスジアゲハの幼虫。」と判定され、先生も感動です。

「クスノキは樟脳の原料で毒性があり、幼虫は解毒しながら歯を食べている。クスの葉の裏には小さなダニ部屋があるのも特徴。」



里山では、シオカラトンボ、ウスバキトンボが悠々と稔った稲の上空を飛翔しています。

カラスウリも実りの季節、葉に止まっている5㎜程の甲虫はクロウリハムシ、垂れ下がる茎は不自然にこぶ状をしています。

「このこぶの中に何かいるか、探してみよう。」

根気よく開いてやっと見つけたのは1㎜ほどのハエの幼虫です。

「ウリウロコタマバエと言って植物のホルモンを出して茎を太らせカラスウリの体に寄生している。」更にカラスウリの葉に注目して、「葉が丸くかじられているね、どの部分だろう?葉脈は毒を出すので葉脈の無い所をかじっている。」

植物と昆虫の共生関係はとても不思議です。


里山の草むらはついこの間までバッタ類がとても多かった。

今はカマキリがとても多くなり子どもたちも、オオカマキリ、ハラビロカマキリ、チョウセンカマキリ、コカマキリ等、捕まえては種を判別して正に昆虫博士です。 


里山で見付けたその他昆虫や生き物は、ツマグロヒョウモン、ゴミムシダマシ、シャクトリムシ、マムシ、カナヘビ、イナゴ、チャバネセセリ幼虫、エンマコオロギ、カネタタキ、ヌマガエル、キタキチョウ、アカボシゴマダラチョウで、子どもたちの手で捕まえたものは皆の前で自慢の紹介タイムも設けました。


一つ一つの昆虫については奥が深く、発生の歴史や生態について興味深い解説、常に何故だろうという問いかけ、昆虫の世界の不思議に魅了された2時間でした。

里山での発見続きの観察会、子どもたちは時間が過ぎるのも忘れ、見つけた昆虫たちをいと惜しんでいました。

今日は科学の視点から昆虫を見る目を教えて頂き、とても楽しいお話をありがとうございました。 


文・写真:Tanoue


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