2022年8月7日日曜日

2022.8.7「プランクトン」月例観察会

 講師:中島良浩さん・他3名(茨城県霞ケ浦環境科学センター)

参加者:子ども20名、大人24名(申込総数84名)


舞台は宍塚大池です。

大池はこの夏、2年ぶりにヒシが繁茂し湖面の9割を覆う勢いです。

そこに、最近ジュンサイハムシが繁殖し、葉脈の中心部を食べるため一面黄色の枯れ草状態です。

そんな環境変化の大きい大池でのプランクトンの観察です。

先ずは池の水の観察。専用のバケツで池の水を採取しビーカーに入れじっくり観察しました。

どんな色か、何か見えるか、匂いはどうか等。

匂いは「人の匂い」「プールの匂い」と子どもたちの感想です。

大池の水が少し黄色なのは珪藻類の色、茶色系ならば「土・泥」が混じった水との事。


目と鼻を使って観察し、次はプランクトンネットの使い方です。

20ミクロンの漏斗状の布を通してプランクトンを採取して沈殿させた水をビーカーに分けました。

8台の実体顕微鏡がずらりと並んだテントの下でプランクトンの観察です。

先生から、先ずプレパラートの作り方を教わりました。

ビーカーの底の部分からスポイトで水を採取してスライドガラスに2滴落とし、カバーガラスをそっと乗せ、顕微鏡にセット、レンズの倍率や台の上下の操作を教わりました。

ピントが合い始めると接続したタブレットにプランクトンが映し出されました。

肉眼では難しい観察も新兵器を使っての学習は迫力満点です。

センターから植物プランクトンと動物プランクトンのカラー見本が配布されました。

顕微鏡の操作にも直ぐに慣れ、タブレットに映し出しながら様々なプランクトンを見つけては資料と照らし合わせ同定をしました。

大池の水からはウチワヒゲムシ、カイミジンコ、オカメミジンコ、ミドリムシなどの動物プランクトン、まさに勲章にしたくなるようなクンショウモなどの植物プランクトンもいて興味が高められました。


次は霞ケ浦の水です。

スポイトでビーカーの底の水を吸ってスライドガラスに乗せます。

タブレットからはイカダモ、ミクロキスティス、フナガタケイソウ、アウラコセイラ、タルケイソウ、ササノハケイソウ等、形が多様で様々な植物プランクトンを沢山観察でき、大池のプランクトンより種類が多いのに驚きました。


最後はセンターで飼っているミジンコ類の観察です。

こちらは中央が少しくぼんだスライドガラスを使います。

ビーカーの中で動くものが肉眼でもはっきり見えます。

スポイドで吸い取り同じようにカバーガラスを載せて観察です。

ミジンコは丸く透明のオカメミジンコ、特徴のある触角や目、心臓の動き、背中にある卵、糞の形や動きまで観察できました。

次はケンミジンコ、左右に分かれた大きな触角と細い体、プランクトンはカニやエビの仲間で脱皮殻も見つけました。子ども達は様々なプランクトンに魅了され顕微鏡を上手に操作しながら観察を楽しみました。

最後は子どもたちの質問も含めまとめのお話です。

ミジンコの体をよく見ると腸は緑色をしているね、それは植物プランクトンを食べているから。

植物プランクトンは水の中の栄養を取り込んで生きており、一方、動物プランクトンは植物プランクトンを餌として生きている。

2つは水の中の一次生産者として重要な生き物だが、人間が出す生活排水と関係が深く、増える原因ともなる。

卵を持つミジンコの世界はほぼメスしかいない。オスがいなくても増える。しかし、水質が悪化し、危機的になるとオスが生まれる。

また耐久卵になり何十年も生きることができる等、周りの環境との係わりが深い生き物。

などなど。


今日は様々なプランクトンを観察させて頂き綺麗な姿や不思議な生態を沢山教えて頂き、水の中の生き物たちへの興味が深められとても楽しい時間でした。

暑い中のご指導、本当にありがとうございました。


(文・写真:環境教育部会 Tanoue)

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