2023年1月15日(曇) 月例観察会「冬の野鳥」 参加者:子ども20名、大人23名。
講師:日本野鳥の会茨城県 内田初江さん
新年を迎えて初めての観察会、厚い雲が立ち込め今にも雨が降りそうな空、寒さも一段と厳しい朝です。
そのような中、野鳥好きな元気な子どもたちが沢山集まりました。
今日の講師は日本野鳥の会で長く観察活動を続けておられる内田初江先生です。
講師紹介の後、双眼鏡の使い方、特にレンズの焦点の合わせ方についてご指導があり、双眼鏡は落とさないよう紐を首にかける、民家の方向を見ない、直接太陽を覗かないの3点、注意がありました。会がカシノナガキクイムシの伐採で見つけたキツツキの巣穴を紹介、すごくきれいな円形の入り口、手を差し入れると横から下に向かう巣穴、とても精巧に作られたキツツキの家を触って小さな野鳥の大きな力に驚いてしまいました。
今日の観察の順路はまずはハス田、次は里山に向かって「ロクベイザカ」を登り、「勢至久保」谷津沿いに大池に向かいました。
ハス田は採取作業の機械の音でお馴染みのサギやシギは逃げた様子、それでも遠方の民家の庭木にいるモズを見つけました。
ハス田は早く切り上げ坂道へ移動すると葉をすっかり落とした広葉樹林は小鳥たちの楽園です。
「コナラの山道」に差し掛かった頃、先生から「耳を澄ませて聞いてみよう!」と促され、会話をやめると本当に色々な鳥の鳴き声が聞こえるのです。
雑木林をあちこち移動する野鳥にも注意が向き、双眼鏡で確認する事ができました。
モズ、ジョウビタキ、アオジ、メジロ、コゲラ、春前のウグイスの「ジャッジャッ」という鳴き声は笹鳴きという。
青い羽根が特徴のカケスの鳴き声「ジェイジェイ」も良く聞こえました。早速、「カケスは口の中にどんぐりを入れて運ぶよ。」と、子どもが教えてくれます。
里山に上がり開けた畑の藪ではシメ、続いて「勢至久保」谷津添いの山道に入るとタカが食べたキジバトの食痕、胸の柔らかい白い羽根や大きな黒い羽が散らばっています。
大池が見える所まで進むと、今度は黒い羽根の食痕、池のオオバンのようでやはりタカの仕業です。
大池沿いの広い空間のある雑木林でヒヨドリ、コゲラ、シジュウカラ、ヤマガラ等、カラが付く鳥の集団が飛び交っていました。
いよいよ大池です。
池に着くなり勇ましいオオタカの狩りの一瞬に出くわしました。水鳥たちが一斉に羽ばたき白い水しぶきがザァーッと上がりました。

その後、オオタカは狩りを諦めた様子で静かになった湖面を悠々と過ごす水鳥たち、その種類や動きを詳しく観察しました。
緑の頭のマガモは最も個体数が多い、黒い体のオオバン、尾っぽがピンと伸びたオナガガモ、目の部分が緑のコガモ、仲間と湖面をぐるぐる回ってプランクトンをすくいとるハシビロガモ、頭が茶色で胸が黒いホシハジロ、おでこが黄色のヒドリガモ等、個性豊かな水鳥の特徴をじっくり観察しました。
大池のカモたちはシベリアからの渡り鳥でこの池で冬を越し、春はまたシベリアに戻り子育てをします。
冬の間この池は渡り鳥たちのゆりかごです。
今年の渡り鳥の特徴は中国大陸で越冬するトモエガモが日本の各地に沢山移動しており、この池でも10羽程が過ごしているとの事です。
最後は谷津田のヨシの草地でホオジロ、アオジ、ヤマガラ、トビ、ハシブトガラスも観察しました。

今日は里山の雑木林、池、草地、谷津田など見て回り、多様な環境を利用して過ごす冬の鳥の多さに驚き、野鳥たちがのびのびと過ごすこの里山は野鳥たちの貴重な棲みかであることに気付かされました。
野鳥大好きな子どもは野鳥の顔や体の特徴、雄、雌の違い等、教え合って楽しそうな姿に元気をもらいました。
また、内田先生の豊富な知識に導かれとても楽しい観察会となりました。
寒い中、沢山の観察用具や資料をご準備頂き野鳥の観察の楽しみ方をご指導頂き、本当にありがとうございました。
文:Tanoue、写真:Nishikawa