2025年6月15日日曜日

2025/06/15 月例観察会「田んぼ」

6 月 15 日(日)子ども 11 名・大人9名 スタッフ:子ども2名・大人9名 

講師:嶺田拓也さん(農研機構) 

 前夜の強い雨の影響が懸念されましたが、観察会開始時には時折雨がぱらつくもそれ以降は晴れに向かい、無事開催されました。 

  「田」という漢字は線が畔、それに囲まれた四角が田んぼをあらわしています。 

  まず情報館北東側の道向こうの田んぼの観察に向かいました。餌を探すシラサギ類やコチドリ、湿地を好むバンやセッカやオオヨシキリがいました。

  田んぼとは人の手と時間をたくさん必要とするものです。まず畔の草刈り。約 20m の畔の草を刈払機で刈るのに 30 分ほどかかります。ここの田んぼは一枚の一周が約 60m なので 90 分ほど必要です。そして年間を通して全国平均では5~6回、多く必要とする地域では 10 回以上しなければなりません。次に水の管理。水位を調整するため、水の出し入れに朝夕2 時間ずつかかる時期があります。また、田植えから1~1ヶ月半ごろには栄養吸収を高めるために水を抜いて中干しをします。この田んぼは井戸と、桜川から引いた土浦用水の水を利用しています。用水路は田んぼより高く、排水路は低い位置にあります。

 田んぼには様々な生き物が棲んでいます。ヒメタニシは泥深い水が湧き出るような場所を好む貝です。昔はタニシを採り食用に売って「田螺長者」「田螺で市が立つ」と言われるほど多くいたそうです。外来種のサカマキガイは食用になりませんが多く見られる貝です。また、イネの害虫も見られました。葉の上に乗った泥のしずくのようなものは通称イネドロオイムシと呼ばれるイネクビボソハムシの幼虫です。同じく葉の上にはイネゾウムシが何頭もいました。田んぼの中にはオモダカやクログワイ、畔から田んぼの中に伸びるイボクサといった水田雑草もありました。オモダカの和名の由来は「伸びたイネの上にお面のような葉を出す」からだそうです。やじり形が縁起良いとして武家の家紋に使われています。オモダカの変種のクワイやクログワイの根は食用に、イボクサの茎から出る粘り気のある汁はイボの治療薬に使われたそうです。ただの雑草ではなく利用されている面があるのは面白いですね。

 次に里山の田んぼの観察に向かいました。ここは谷戸、谷津田です。田んぼの学校の田んぼに網を入れると、多くのアカトンボ類のヤゴやヌマガエルの幼生、コオイムシの幼虫などが入りました。春先に生まれたニホンアカガエルはもう子ガエルになっていました。 

  

 水路を遡っていくと自然農の田んぼがあります。不耕起のこの田んぼは多くの田んぼとは違った構造です。水の利用法が一般的な田んぼとは異なっています。 

 観察会の終点は宍塚大池です。このため池の主な水源は雨水です。池の中に取水口があり、その穴を塞ぐ栓を詰めたり抜いたりして、水路に流れる水の量を調節しているそうです。 

 昨年末から米の値が前年から比べて倍に上がり、米や稲作について多くの人が知識を得たり考えたりする機会ができたように思います。今回の観察会では、田んぼがいかに多くの人の手による管理を必要とすることや、多くの生物の住処になっていること、作物のイネ以外の生物も利用するということを学ぶことが出来ました。 

By Yoshiさん(五斗蒔7月号から)

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