2024年10月29日火曜日

2024.10.13 月例観察会「魚」

 2024年10月13日(日) 月例観察会「魚」 晴れ

参加:子ども16名 大人18名  

講師:元ミュージアムパーク茨城県自然博物館首席学芸員 増子勝男さん


里山での危険生物への対応、小川での網の使い方、川での魚とりの注意事項を増子先生からお話しいただいた後、自然農たんぼ塾に面したビオトープに移動しました。

夏は美しい花を咲かせた野生の蓮も役目を終え枯れ始めています。

水面ではハイイロゲンゴロウの姿、泥を巻き上げ移動する生き物の姿等が見られます。

先生の指導で網を手に持ってそっとビオトープに入り、生き物をすくって探します。

子供たちは長靴も洋服も泥だらけ、「ドジョウだ」、「トンボのヤゴだ」、「ガムシだと」、歓声をあげながら夢中で生き物を捕まえました。

生き物好きのけんと君はハイイロゲンゴロウの飛び立つ様子を観察したいと、手のひらに乗せて待ちました。

まもなくハイイロゲンゴロウは手のひらからさっと飛び立ち田んぼの上空を悠々と舞っていきました。子供の発想に感心した一瞬でした。


次の採集場所は池下です。

池からの水が落ちる場所は一部コンクリートと小石、土手は土、その上が草で覆われています。

ザリガニの仕掛けを先生が用意してくださり、暫く垂らしましたがさっぱりかかってこないので網を持ってジャブジャブ小川に入り採取しました。

だんだん網の使い方も上手になり、フナ類、ブルーギルの大小多数、カワニナ、ヒメタニシ、大きいドジョウ、ザリガニ、トンボの小さなヤゴ、ウシガエル幼生、吉武さんの応援もあり沢山の生き物が採集できました。

小型のフナ類が4匹もいたのは驚きでした。


最後は大池での魚釣り体験です。

夏には一面緑のヒシで覆われていた湖面は、枯れ始め、ヒシの間から水面が見えています。

会で準備した竿と仕掛けをそれぞれが持って魚釣りです。

今日は天気も良く魚たちの活動も活発な様子で次々大小のブルーギルを釣り上げました。

大きな水槽では足りずバケツにも入れるほどの量でした。

オオクチバス2匹は中学生が活躍してくれました。


皆で採集した生き物を並べて、先生からまとめのお話です。

一番個体数が多かったのはブルーギルで51匹でした。

名前の由来についてギルとはエラのこと、エラがブルーなのでその名がついた。繁殖力が強く在来生物に大きな影響を与える外来種、そのため、特定外来生物に指定され、釣ったものは移動が禁止され持ち帰ることができない。

オオクチバスも同じ。ただザリガニは条件付き特定外来生物となっており、持ち帰って飼うことはできるが野外に放すことができない、最後まで飼い続けなくてはならいことなど、魚の採集とその扱いについて指導いただきました。


昨年は水枯れで観察会そのものが中止、その前年は魚、ザリガニ共全くいませんでした。

今年は2年分を取り戻す程の量でした。

下見や釣り用具のご提供など、大変お世話になり、里山の生き物を手に取って観察する貴重な体験となりました。

お忙しい中、今年も里山に来ていただき有難うございました。


文・写真:Tanoue



2024年10月12日土曜日

2024.10.12 土曜観察会

 晴れ  参加者9名 


田んぼの学校の稲刈りが始まりました。案山子と稲架掛けの風景は素敵です。


池にはバンとオオバンを見ました。林の中で渡りの途中のオオルリのメスを見ることができました。



イナリヤツ湿地では山から戻ってきたアキアカネの群れが乱舞していました。



湿地が乾燥状態でミゾソバのピンクの絨毯が広がってとても綺麗でした。



五斗蒔谷津の縁にはミゾソバの変種で写真の色の濃いオオミゾソバが咲いていて、こちらも見語でした。



ゲンベイ山ではコウヤボウキの白い花が咲いています。林を巡る観察路の道端や倒木などにキノコが沢山顔を出していました。食用もあるのでしょうが、放射能の影響もあるので辞めておきましょう


【観察した野鳥】

キジバト、アオサギ、ダイサギ、コサギ、バン、オオバン、コゲラ、モズ、カケス、ハシブトガラス、ヒヨドリ、メジロ、オオルリ、スズメ、ハクセキレイ 15種+コジュケイ、ガビチョウ

2024年10月5日土曜日

2024.10.05 土曜観察会

 くもり時々小雨 参加者2名 


自然農田んぼ塾の水田では稲刈りが始まりました。道端にはきのこが顔を出していましたが例年に比べると少なめのようで、ここにも猛暑の影響が残っているのでしょうか。



大池で顔に模様の残るカイツブリの幼鳥がいました。例年に比べると遅いのですが今年も繁殖が成功したようです。渡りの途中のコガモに似た大きさのシマアジが2羽休んでいました。


シマアジのエクリプスで目の上下に白い斑が見えています

オオカマキリが産卵を始めたようで
卵嚢を今シーズン始めて見ました。

大きな卵嚢です



この秋初めてウラナミシジミを見ることができました。ウラナミシジミはクズなどのマメ科の植物につく南方系のチョウで世代交代しながら日本列島を北上して来ます。


寒さに弱いので、関東では越冬できる場所が限られるようです。イナリヤツ湿地でピンク色のミゾソバの花が咲き始めました。ピンクの絨毯が広がるのが楽しみです。


【観察した野鳥】

カルガモ、シマアジ、カイツブリ、キジバト、ダイサギ、チュウサギ、コサギ、モズ、カケス、ハシブトガラス、シジュウカラ、ヒヨドリ、ウグイス、メジロ、ムクドリ、スズメ、セグロセキレイ 18種+コジュケイ、ガビチョウ

2024年9月28日土曜日

2024.09.28 土曜観察会

 くもり  参加者3名


お彼岸が過ぎましたが、残暑の影響でしょうかヒガンバナの開花が遅れています。大池のヒシを食い荒らしていたジュンサイハムシがウシガエルの幼生に食べられて減ってきたようです。


モズがけたたましい声を出し、里山に活気が戻ってきたようです。ようやく林の中でシジュウカラを中心としたカラの混群と出会うことができました。カケスも山から下りてきていました。下の蓮田ではサギ類に混じってタシギが見られました。そろそろ渡りの時期も終わり冬鳥の到来を待つばかりです。

ハスの葉の下に隠れていたタシギ

バッタ、チョウやガの幼虫が葉を勢いよく食べていました。

クズの葉をもりもり食べているツチイナゴは親のまま冬を越します


【観察した野鳥】
キジバト、アオサギ、ダイサギ、チュウサギ、コサギ、タシギ、カワセミ、コゲラ、モズ、カケス、ハシボソガラス、ハシブトガラス、シジュウカラ、ヒヨドリ、エナガ、メジロ、ムクドリ、スズメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ 19種+コジュケイ、ガビチョウ

2024年9月26日木曜日

2024.09.15 月例観察会「昆虫」

2024年9月15日(日) 9月月例観察会「昆虫」 晴れ

参加:子ども14名 大人21名   

講師:農業・食品産業技術総合研究機構 今野浩太郎さん


今世紀最高の猛暑は9月半ばというのに留まることのない勢いです。

そのような中、今野先生は昆虫が熱中症にかかっていないかと、2回も里山の下見をして下さいました。

当日もやはり猛暑でしたが木陰はやや涼しく、虫たちも沢山いて楽しい観察会となりました。

今野先生は以前NHKラジオの科学相談番組「親子ではてな?」の回答者を担当されたこともあり昆虫の生態にとても詳しく、お仕事の傍ら昆虫の研究をずっと続けられておられます。


今日はどのような虫たちに出合えるのか、暑さを忘れて子どもたちは目を輝かせています。

先生が指さしたのはカラタチの葉にいたアゲハの2齢幼虫です。

黒と白の小さな幼虫ですが子どもたちの目は鋭く、あそこにもここにもと沢山見つけました。


「この幼虫はなぜ鳥のウンコのような形をしているのかな?鳥に嫌われて食べられないように鳥のウンチのような形をして身を守っている。」

何と不思議な防衛能力なんでしょう。

そして暑さのためかしんなりしたの梅の葉を裏返し、びっしり並んだ5㎜程の黄緑色の幼虫を見せて、「体はトゲで覆われている、これは何だろう?」「中国の外来種、ヒロヘリアオイラガ、トゲをうっかり触るとビビッと電気ショックのような痛さ。

チャドクガという触るととてもかゆくなる毛虫も集団で身を寄せあってツバキの葉を食べるが、毒性が強い幼虫はこのように集合していることが多い。

鳥に狙われると一匹だけは犠牲になるが、触ったときの痛さと毒で次からは食べなくなる。」

一匹だけが犠牲になるという毒蛾の幼虫の特性には驚きです。


太いエノキの幹を這っているのは外来種のヨコヅナサシガメです。

まだ小さく、皮を脱いだばかりで背中が赤い。

「カメムシの一種で、針のような長い口は手前に曲がり生き物を刺して消化液を出しながら吸って生きている。集団でいることが多く待ち構えて生き物を襲う。ヨコヅナの名前の由来はお腹の縁の白黒縞模様が相撲の化粧まわしにていることから。」

小さな昆虫の集団行動や名前の由来に驚かされます。


クスノキの前では、葉の噛み跡を確認しながら幼虫がいないかと皆で探しました。

いました、いました、目ざとい子どもが真新しいチョウの抜け殻を見つけました。

次に緑色の小さな幼虫も見つけました。「これはどちらもアオスジアゲハの幼虫。」と判定され、先生も感動です。

「クスノキは樟脳の原料で毒性があり、幼虫は解毒しながら歯を食べている。クスの葉の裏には小さなダニ部屋があるのも特徴。」



里山では、シオカラトンボ、ウスバキトンボが悠々と稔った稲の上空を飛翔しています。

カラスウリも実りの季節、葉に止まっている5㎜程の甲虫はクロウリハムシ、垂れ下がる茎は不自然にこぶ状をしています。

「このこぶの中に何かいるか、探してみよう。」

根気よく開いてやっと見つけたのは1㎜ほどのハエの幼虫です。

「ウリウロコタマバエと言って植物のホルモンを出して茎を太らせカラスウリの体に寄生している。」更にカラスウリの葉に注目して、「葉が丸くかじられているね、どの部分だろう?葉脈は毒を出すので葉脈の無い所をかじっている。」

植物と昆虫の共生関係はとても不思議です。


里山の草むらはついこの間までバッタ類がとても多かった。

今はカマキリがとても多くなり子どもたちも、オオカマキリ、ハラビロカマキリ、チョウセンカマキリ、コカマキリ等、捕まえては種を判別して正に昆虫博士です。 


里山で見付けたその他昆虫や生き物は、ツマグロヒョウモン、ゴミムシダマシ、シャクトリムシ、マムシ、カナヘビ、イナゴ、チャバネセセリ幼虫、エンマコオロギ、カネタタキ、ヌマガエル、キタキチョウ、アカボシゴマダラチョウで、子どもたちの手で捕まえたものは皆の前で自慢の紹介タイムも設けました。


一つ一つの昆虫については奥が深く、発生の歴史や生態について興味深い解説、常に何故だろうという問いかけ、昆虫の世界の不思議に魅了された2時間でした。

里山での発見続きの観察会、子どもたちは時間が過ぎるのも忘れ、見つけた昆虫たちをいと惜しんでいました。

今日は科学の視点から昆虫を見る目を教えて頂き、とても楽しいお話をありがとうございました。 


文・写真:Tanoue


2024年9月21日土曜日

2024.09.21 土曜観察会

 くもり  参加者5名


曇り空で 残暑が少し和らいだ感じの中で観察会を実施しました。ハギ、ノダケ、タデなどの秋の花が咲き始めていました。虫たちも寒い季節に向け、子孫を残すために活発に活動していました。


 最近話題になっている外来種のチュウゴクアミガサハゴロモ(写真)が宍塚の里山にも出現しました。在来のアミガサハゴロモと色と翅の白い斑の形が違っていて、茶色の翅に三角形の白い斑があります。カバノキ科、クワ科、ブナ科、マメ科、モクセイ科などに色々な木に寄生するようで、要注意です。

在来種のアミガサハゴロモ
最近数を減らしているノシメトンボ

平らなひょうたん型の巣に隠れているマダラマルハヒロズコガの幼虫

野鳥は相変わらず動きが鈍く、すでにカラの混群ができているようですが、なかなか巡り合うことができません。


【観察した野鳥】

キジバト、アオサギ、ダイサギ、チュウサギ、コサギ、コゲラ、モズ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、シジュウカラ、ヒヨドリ、メジロ、ムクドリ、イソヒヨドリ、スズメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ 17


2024年9月14日土曜日

2024.09.14 土曜観察会

 晴れ  参加者3名 


汗が目に入るほどの暑さでした。ツクツクボウシだけが頑張っていて他のセミは力が尽きたようです。相変わらず鳥は動きを感じられません。鳥たちは林の奥に隠れて出てこないようです。色々なキノコが顔を出していました。成熟すると丸いキノコのてっぺんから胞子を吹き出すホコリタケを見つけました。



クズやキクイモの花が咲き始めました。アキアカネが山から帰ってきました。池ではウシガエルが大発生していて幼生がハスやヒシの葉の上に乗っているのを見ることができます。



【観察した野鳥】キジバト、アオサギ、ダイサギ、チュウサギ、オオバン、カワセミ、ハシブトガラス、ヒヨドリ、エナガ、メジロ、スズメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ 13種+ガビチョウ